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内容 (各内容をクリックすると詳しい説明へ) |
参考書籍 |
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T | イヌと人との長い歴史 | グルーマー No.12 1994年
ペットライフ社 |
U | イヌは人間の仲間 | |
V | ドッグ・ショーの始まり | |
W | 文化として維持するために | |
X | 犬種・グループについて | グルーマー No.12 1994年 藤畑富男氏/ペットライフ社 |
Y | ドッグショーの見方・日本編 | JKCのホームページへ |
Z | ドッグショーの見方・アメリカ編 | 作者の体験より(ショープログラム参考) |
ドッグ・ショーって何だろう?
本来の意味を、あなたは知っていますか。
なぜ、ドッグ・ショーを開催するのか、その意義については、実は奥深いものが秘められているのです。
さて、イヌの原点に立ち戻って、もう一度考えてみませんか。
T. イヌと人との長い歴史
この4月に行われる本部展から、10グループ制が採用される。今までは8グループ制であったのが、2グループ増える。しかし、ただ増えるわけではない。そのグループ構成メンバーも変るのである。
国により、グループ分けは若干違いがあり、日本ではこれまでに何度か変化してきたが、4月よりFCIの分類法に準じるわけである。
さて、なぜ10グループ制になるかというと、FCI加盟国でこの制度を実施していないのは現在日本だけとなるため。
この分類法は、まず、FCI公認犬種というのは340種類おり、このうち170犬種は猟犬である。大別すると、スポーティングとノンスポーティングとに分けられる。更に生存、形態を目的に分けると39グループに分けられ、それを更に分類したのが、10グループというわけだ。つまり、このグループ分けは生存目的によってわけられているといっていい。
では、なぜドッグ・ショーが開催されるようになったのか、人とイヌの結びつきの歴史から紐解いてみることにする。
U. イヌは人間の仲間
紀元前までさかのぼる太古の昔、人間と暮らし始めたイヌは、人間の狩猟のよきパートナーであった。狩りという共同作業を通して、一緒に生きてきたのである。
そこで、ちょっと考えて欲しいのが、イヌは家畜かどうか、ということだ。家畜とは、人間が捕らえて食べるためや毛をとるためだけに飼われ、それぞれは進化をせず、その形態も種類もふえることはない。しかし、一部は食用にされているが、イヌはその形態も犬種も増え、人間の助力となるように、よきパートナーとして人間の意の赴くままに改良されていったのである。イヌは家畜の域をとうに脱し、人間との共存者になったのだ。
イヌは群れを作り、リーダーを決める狼を祖先に持つだけに、イヌは人間と結びついたときに、自ら野生を脱却、人間について大陸を移動し、世界に広がっていった。そして世界各地の気候風土に合うように、それぞれの亜種(犬種)に進化していったのである。
環境に対して順応能力が高く、人間のパートナーとして世界を移動したとき、暑い地域、極寒地とあらゆる環境のもとに適したイヌができあがっていったのである。
そして、移動する先々で違った犬種と交配し、また新しい犬種が登場するといった具合である。しかし、当初は神のみぞ知る偶然から新種が誕生するといったことが、人間の最善のパートナーとして、意識的に目的を持って犬種同士を掛け合わせることになったのである。
そこには狩猟用、牧羊犬、闘犬、番犬といった具合に。更には鳥を追うもの、兎を追うものとそれぞれの狩猟目的に応じて人間はそれぞれ長けたイヌを持ち寄り、交配したのである。
そこに生まれたイヌは一種の雑種である。その時生まれた兄弟姉妹たちの名かには、両親の長所ばかり受け継いだもの、片方の親だけの長所を受け継いだもの、欠点ばかりを受け継いでしまったものなど、いろいろな血統がでてくる。その中から一番優れた個体を選び出して、優れたもの同士を交配させるのである。
人間による交配を何代も繰り返すうち、目的に合ったイヌが固定され、純粋種として認定されるのである。
自ら野生から脱出してきたイヌだけに、逆に野生にもどすのは無理な事である。イヌは、雑種であっても、人間と一緒にいるほうがいいに決まっているはずだ。広い場所に一匹でいるのがいいのか、狭くても人間と一緒がいいか、それは考えてみるまでも無い。イヌ自らの歴史がそうさせているからである。
つまり、イヌは人間が手を入れてきた限り、人間がその繁殖を管理していかなければ、イヌたちは生きていけないのである。
V. ドッグ・ショーの始まり
四つ足の動物全般にいえることは、早く動ける体型を持った動物を、人間は美しく感じるということだ。馬にしてもしかり。つまり早く動ける構成を持ったイヌは美しいのである。
そのようなイヌを作成するのには、時間・お金・スペース・知識と、この4つがなければ困難で、それらを持っているのがヨーロッパ、特にイギリスの貴族であった。
イヌにしても、馬にしても、羊にしても、原産地からイギリスに渡り、改良され、いい血統となったものが数多く排出された。
いいイヌを作り出すためにはブリーディングを繰り返し、いい血統を作り出す。しかし、そこには思ったような血統が出ない事もあり、繁殖に使えないと判断したイヌは、淘汰ということになる。自然界であれば自然淘汰されるのが、人間が手を貸しているだけに、人間が処理しなければならない。いい因子を残すためには、それは必要なことなのである。が、貴族達もそこは人の子、やはり安楽死させるのも偲びないとなれば、それらはどうなるのかというと、繁殖ラインから外し、ペットとして生きることになるのである。
そして身近な人間がペットとして譲りうけることになる。そうなると、うちの子が一番ではないが、イヌ談義の際、うちのイヌのほうがいいということになり、じゃあ、ご主人様に見て頂こうという事になったのである。
つまり、思ったよりもいいイヌに成長した場合、交配に使えるわけで、繁殖に適しているかどうかを御主人が判断し、それではこのイヌと交配させてみよう、というところからドッグ・ショーが始まったといわれている。繁殖に使っていいかどうか、判定することが、いわゆるドッグ・ショーなのである。
W. 文化として維持するために
人間が作り出してきたものは、一つの文化である。イヌに関しても同じで、先人が作ってきた文化を守るのが大切なことであり、いい血統を絶やさず残すように管理することが必要になり、各国でケンネルクラブが出来たのである。
では、いい血統を残すためには何が必要かというと、種が生き残るためにはある程度の数が必要となる。そのためにはみんなに純粋種を飼ってもらうことが数の維持につながる。それはドッグ・ショーを開催し、いろんなイヌを知ってもらい、出場してもらうことが種の保存の大きな目的なのである。
ドッグ・ショーは一種のスポーツであり、オリンピックと考えてもらうといい。いいデータを残す事で次のステップアップとするのである。競う事でいい意味のライバル意欲が沸き、いい血統を作り出す事となる。
しかし、現状の日本のショーにおいては、ブリーダーや愛犬家の勉強不足から、乱交配され、首を傾げるようなものもなかにはいる。
特に、日本人はBISに強い関心がいくようだが、これは本来一種のお遊びであり、ショー・アップのための一つの手段なのだ。つまり、ショーで最も栄誉のあるものは犬種の中の最高賞であるBOBを獲得することなのである。
もともと犬種と犬種を比較するということはできない相談であり、また、比較する意味も無い、目的も体型も違うものを比べようが無いのである。だから、BOBから上は観客を飽きさせないためのショーなのである。
BISを決定させるためには、各グループのBIGのなかから、最もスタンダードに近いイヌを選ぶ。例えばハスキーはハスキーのスタンダードと比較すると80点、ゴールデンは85点、シュナウザーは87点、ヨーキーは90点といった具合にそれぞれのスタンダードと比較して点数の高いイヌがBISを獲得するのである。
良い血統を維持するためのドッグ・ショーであり、そのためには繁殖ラインとペットをきちんと分ける知識が必要だ。たとえラインからはずれても、人間にとってパートナーであることは変わりなく、雑種であっても性格が良く、健全であればそれはよき伴侶となりうるのだ。そして、ショードッグはというと、オーナーにとってはペットでもあり、さらなる喜びも与えてくれる、最高のパートナーといえよう。
X. グループについて
《第1グループ》 -
シープドッグ、キャトルドッグ
シープドッグは、牧羊犬を祖先に持つイヌ達で、共通しているのは行動が機敏で冷静な判断力を持ち、命令には従順であること。
キャトルドッグは、家畜を追い立てながら監視するのが仕事で、現在でもその祖先の気の強さや頑丈さを受け継いでいる。
《第2グループ》 -
ピンシャー、シュナウザー、モロシアン・タイプ、スイス・キャトルドッグ
ピンシャーもシュナウザーも鼠とりや家畜の警備に活躍し、活発で利口でいくらか荒い気質は現存している。マスティフ系の共通点は忍耐強く、力もちなこと。
《第3グループ》 - テリア
小さめの害獣を追いつめ退治するのがテリアの仕事。もとは猟犬なため、テリア・キャラクターと呼ばれる激しい気性を持っている。
《第4グループ》 -
ダックスフンド
この犬種には2サイズあるが、毛質の違いによりさらに3タイプあり、細分すると6タイプある。
《第5グループ》 -
スピッツ、プリミティブ・タイプ
このグループは型に共通性のある犬種が集められている。原初的なままの体型や体質がこのグループの特徴。
《第6グループ》 -
セント・ハウンド
獣猟犬でもこのグループの特徴は鋭い嗅覚を持っていること。
《第7グループ》 -
ポインティング・ドッグ
鳥猟犬のなかでも得意技があり、それが犬種名になっている。
《第8グループ》 -
レトリバー、フラッシング・ドッグ、ウォーター・ドッグ
隠れている獲物を追いたたせるのがフラッシング・ドッグ、撃ち落とした獲物を回収するのがレトリーバー、そして水鳥専門なのがウォーター・ドッグ。
《第9グループ》 -
コンパニオン、トイ
人間の愛玩犬としての歴史を持つイヌたち。
《第10グループ》 -
サイト・ハウンド
疾走し、獲物を追いつめる銃猟犬たち。その姿態は優雅で古代のイヌを感じさせる。
↑アフガンハウンドはこのグループ
Z. ドッグショーの見方・アメリカ編
■クラス分け
まず、[Sweepstakes] と [Regular Classes]に分けられる。
■SWEEPSTAKESとは
[Sweepstakes]
とは、馬券・宝くじ、のようなものだ。下記のクラスに当てはまり、Sweepstakesクラスに出陳し、賞を獲得すれば賞金がもらえる。Regular
Classesが始まるまでのお遊び。食前酒ですね。
SWEEPSTAKES クラス分け |
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Puppy | 6 Months & Under 9 Months(6ヶ月以上9ヶ月未満) |
Puppy | 9 Months & Under 12 Months(9ヶ月以上12ヶ月未満) |
Junior | 12 Months & Under 15 Months(12ヶ月以上15ヶ月未満) |
Junior | 15 Months & Under 18 Months(15ヶ月以上18ヶ月未満) |
SWEEPSTAKES 賞金の分配% |
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First Place | 40% |
Third Place | 20% |
Second Place | 30% |
Fourth Place | 10% |
※各クラス、出陳頭数によって、賞金は違う。 | ||
(例) | 6ヶ月以上9ヶ月未満のクラスは7頭出陳 | First $16.38 以下 $12.29、$8.19、$4.10 |
12ヶ月以上15ヶ月未満のクラスは3頭出陳 | Firstは$7.02 以下 $5.27、$3.51 |
■SWEEPSTAKESの賞
@ Best in Sweepstakes
A Best of Opposit Sex in Sweepstakes
■REGULAR CLASSESについて
Regular(Dogs)、 Regular(Bitches)、[Best of Breed Competition]に大きく分類。
● Regular(Dogs)....................................CH(チャンピオン)になっていないオスのクラス
※Dog=オス
● Regular(Bitches)...............................CHになっていないメスのクラス
※Bitch=メス
● Best of Breed Competition............CH(アメリカンチャンピオン)のクラス、♂♀混合
REGULAR CLASSES クラス分け |
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1 |
Puppy, 6 to 9 Months Dogs | 6ヶ月以上9ヶ月未満の♂ |
2 |
Puppy, 9 to 12 Months Dogs | 9ヶ月以上12ヶ月未満の♂ |
3 |
12 to 18 Months Dogs | 12ヶ月以上18ヶ月未満の♂ |
4 |
Bred by Exhibitor Dogs | ハンドラー=ブリーダーの♂ (CH以外) |
5 |
American-Bred Dogs | アメリカで生まれた♂ (CH以外) |
6 |
Open Dogs | 4・5に該当しない♂(CH以外) |
7 |
Puppy, 6 to 9 Months Bitches | 6ヶ月以上9ヶ月未満の♀ |
8 |
Puppy, 9 to 12 Months Bitches | 9ヶ月以上12ヶ月未満の♀ |
9 |
12 to 18 Months Bitches | 12ヶ月以上18ヶ月未満の♀ |
10 |
Bred by Exhibitor Bitches | ハンドラー=ブリーダーの♀ (CH以外) |
11 |
American-Bred Bitches | アメリカで生まれた♀ (CH以外) |
12 |
Open Bitches | 10・11に該当しない♀(CH以外) |
※我家の場合は:Ribbon=12、Senna=6、Jasmine=11 or 12 |
■REGULAR CLASSESの賞
1 | Best of Breed (BOB) | 当日のショーで最高のアフガン・ハウンド |
2 | Best of Winners (BOW) | Regular Classで一番 |
3 | Best of Opposite Sex (BOS) | 1と同じ(BOBが♂の場合は♀が選ばれ、 BOBが♀の場合は♂が選ばれる) |
4 | Award of Merit Winners | 特別賞(小さなショーには無い) |
5 | Winners Dog (WD) | Regular Class、♂の1席 |
6 | Winners Bitch (WB) | Regular Class、♀の1席 |
7 | Reserve Winners Dog (RWD) | Regular Class、♂の2席 |
8 | Reserve Winners Bitch (RWB) | Regular Class、♀の2席 |
■その他の競技
Lure Coursing | 獲物を追いかけて順位を競う(早さ&正確さを競う) |
Obedience | 従順さを競う(待てとかいろいろ) |
Agility Demonstration | 障害物をいかに正確に越えていくかを競う |