一連の差別落書きについて
部落研はこう考える

市大の近くで差別落書きが続発しています
 最近、大阪市立大学の近辺において、部落を差別する内容の落書きが連続して発生しています。3月22日には、大阪市立大学バス停(学術情報総合センター前)設置イスに「エッタはみんな死ね」と書かれたものが発見されました。また3月27日には、JR杉本町駅跨線橋ポスターに「エッタXのオッサン」と書かれたものが発見されました。さらにその後も、大学前の歩道に「エッタ町」「エッタ村」と書かれたものが発見されました。

今回の落書きが、なぜ問題か
 なぜ、これらの落書きを、日常的な落書きとは違う「差別落書き」として取り上げなければならないのでしょうか。それには、以下のような理由があります。

 多くの人たちにとっては単なる悪ふざけのように見えるかもしれません。しかし立場を変えてみるとどうでしょうか? 書かれた側の当事者がどのような思いをするのか、この機会に是非とも考えてみてほしいと思います。
 部落出身者は、社会の中でマイノリティ(少数派、社会的弱者)の立場にあります。そのようなマイノリティの立場にいる人々にとっては、様々な社会構造、特に差別の構造により、声を上げることが困難になりがちであり、またたとえ声を上げたとしても、その声は届かず、周りにも理解されないことがしばしばあります。それに対し、社会の中でマジョリティの立場にいる人々の声は届きやすく、そしてそれはしばしば強大なものにもなります。
 日常の多くの場面でも、気がつかないうちにマイノリティの立場に置かれた人々は被差別者となりがちであり、そのような中で、今回のような落書きをすることは、差別者の声を強大なものとし、部落出身者が部落出身者として生きてゆくことを困難にするものであり、ひいては部落出身者を社会から排除することをも意味するのです。皆さんにも、こうした落書きを書くということが、部落出身者が自分らしく生きることを否定するような行為であることに気づいて欲しいと思います。
 私たちはこれらの落書きをした人に対して、自らがしたことが多くの部落出身者にとって苦しい思いを強いることになることに気づき、反省し、謝罪して欲しいと思います。そして、このような落書きを二度と書かないよう求めます。

部落研としての思い
 部落問題研究会では、これまで部落差別をなくしたいという思いのもと、反差別の取り組みをしてきました。また、銀杏祭での企画などを通じて、部落差別の現状と部落完全解放の思いを学内外を通じて広く発信してきました。このような中で、今回このような一連の差別落書きが発生したことについて、私たちは激しい憤りを感じます。
 私たちは、この大学を部落出身者がすごしやすい大学とし、またその思いを学外にも伝えていくことにより、部落出身者が生きやすい社会を実現していくための一翼を担っていきたいと考えています。そのためにも、部落出身者の社会からの排除を煽るような今回の落書きを決して許さないと同時に、この落書きを一部の個人だけの問題ととらえず、このような落書きを誘発し、黙認するような社会のあり方そのものを問い直していく広い視野をもって、これからも活動を続けていきたいと考えています。
 なお、今回の部落問題研究会の声明に賛同してくださる方は、疑問・質問もふくめ、メールにてご連絡下さい。一緒に部落問題について考えていきましょう。その一歩を私たちと一緒に踏み出してみませんか。

2004年6月8日
大阪市立大学部落問題研究会

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