マニュアル式水洗便座

 
「ペナンに赴任する際持参した方が良いものは何ですか?」と聞かれることがある。駐在員の多くは家具、電気製品完備のコンドミニアムに入居する為、「基本的には全て手に入るので何もいりませんよ。」と答える。しかし当然ながら手に入らないものもある。例えば水洗便座である。

「マニュアル式水洗便座?」

日本では水洗便座の普及率は30%近いと聞くが、マレーシアでは見たことが無い。それもその筈、マニュアル式水洗便座が常識だからである。空港、会社、等の公共施設のトイレには必ずホースが付いている。また屋台のトイレ(右写真)には水を満たしたバケツに手桶が入っている。用をたす前に汚れた便器を洗い流し、済ました後お尻をきれいに洗う訳である。この習慣はずいぶん昔からある様で、肛門の衛生に関しては日本より遥かに進歩していると言えるだろう。

しかし使う前に洗うという習慣からか、便座は概ね汚れているので出来ることなら利用したくないものである。ショッピングセンターの有料トイレに入ったは良いが、小便が飛び散ってびしょ濡れの洋式便座に不愉快な思いをした方も多いだろう。中には土足で上がる馬鹿者がおり足跡が付いている事もある。出張者や観光客が街中でトイレに行きたくなったら、迷わず清掃の行き届いた5スターホテルにご案内すべきである。

「なかなか良い按配ではないか」

私のオフィスでは来客が使う事もあるので、トイレは清潔に保たれており、日本人が唯一使えるトイレである。ある日出勤と同時に腹痛に襲われた私は、オフィスのトイレに駆け込んだ。ところがこんな日に限って使用中である。過敏性腸症候群である私にとって緊急事態であり一刻の猶予も出来ない。やむなく工場のトイレに駆け込んだ。工場のトイレ(右写真)は洋式ではない。汚らしいホースが備え付けてあるだけで、もちろんトイレットペーパーも無い。しかしそんな事はどうでも良かった。とにかく最悪の事態は避けられた。

そして冷静になってから困った事に気が付いた。ポケットティシュも持ってないし、この後どうしよう・・・・? やむなく左手でホースを持ち(入り口に向かってしゃがんでいた為)蛇口をひねって水量を調整し始めた。ある程度勢いが無いとターゲットに命中しないからだ。そして右手でそっと肛門を拭いOOOを洗い流した。ところが予想に反し・・・・なかなか良い按配ではないか! 

「それはもう病みつき」

その後オフィスのトイレで用を済ました後は、ホースを利用するようになった。洋式便座に座った状態で左手で股間からホースを構え蛇口をひねる。そして右腰をちょいと浮かせ、横から右手を差し込んで肛門を洗浄する。慣れてくるとターゲットに正確に水を命中出来る様になり、手で軽く拭うだけでOOOをきれいに洗い流す事が出来る様になる。後はトイレットペーパーで濡れたお尻を拭いて完了である。

こうなったら自宅でも使わない手は無い。メンテナンスのMr.チョンに連絡し、水道屋に取り付け工事に来てもらう事にした。数日後帰宅するとシャワー式マニュアル式水洗便座システムが導入されていた(←大袈裟だぜ)。費用はシャワーと工事費でRM30である。早速試してみた。シャワーにはトリガーが付いており、蛇口をひねる必要が無いので実に楽チンである。水圧は十分でよほど粘ったOOO出ない限り手で拭う必要は無い。それにこのシャワーはトイレ掃除にも使えるのだ。こんな便利なものなぜ早く使わなかったのだろう。

マレーシアに来て5年近くたってようやくトイレもローカルスタイルに慣れ始めた。しかし問題は私の右手が不浄の手になってしまった事だ。

2003613日)

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