濃度の種類 |
計算式 |
補足 |
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重量パーセント濃度[%] | (溶質質量[g]/溶液質量[g])*100 | 俗に言う「濃度」 |
モル濃度[mol/l] | (溶質物質量[mol]/溶液の体積[l]) | |
重量モル濃度[mol/kg] | (溶質物質量[mol]/溶媒の質量[kg]) | 沸点上昇・凝固点降下に使う |
体積パーセント濃度[vol%] | (混合前溶質体積[l]/混合前体積和[l])*100 | |
規定度[N] | (グラム当量[eq]/溶液の体積[l]) |
「濃度なんて中学校で習った」「当たり前」「簡単」と思われがちですが、結構奥が深いのが、この「濃度」です。
まず濃度は、用途別に上の表のような種類があります。
その性質の違いを知るために、下の問題を解いて見てください。
次の記述の内、正しいものをすべて選べ。
(ア)質量百分率(質量パーセント濃度)は温度が変化しても変わらない。
(イ)モル濃度は温度が変化しても変わらない。
(ウ)重量モル濃度は温度が変化しても変わらない。
(エ)ある物質10gを1lの水に溶かした溶液の溶質のモル濃度は、同じ物質10gを同じ温度・圧力下で2lの水に溶かした溶液中の溶質のモル濃度の正確に2倍である。
(オ)ある物質10gを1lの水に溶かした溶液の溶質の質量百分率は、同じ物質10gを同じ温度・圧力下で2lの水に溶かした溶液中の溶質の質量百分率の正確に2倍である。
[上智大学]
[答え]
(ア)(ウ)
[説明]
(イ)溶媒の体積は、温度に依存しているので、濃度は変化する。つまり、温度が上がると、溶液の体積が増えるので、分母が大きくなる。結果として濃度は下がる。
(エ)溶質を溶媒に加えると、ごくわずかではあるが、体積は増加する。(本当にチョットダケだよ、でも変化は零ではない!)。だから溶媒1lに溶質を加えると、体積はわずかに1lを越える。2l の方も同じ事が言える。この変化は、互いに二倍にはならないから、濃度は倍にならない。
(オ)分母が違う! 1lの方は、溶液質量が1010gで、2l の方は、2010gになる。これで和有るのだから、二倍にならない。
沸点上昇・凝固点降下は、モル数に比例する訳なので、出来れば分子の単位を「モル」にしたい。でも、モル濃度にすると、温度によって変化してしまう。沸点上昇・凝固点降下はもともと、温度を対象にしたものなので、温度依存すると、何を測っているのだか分からなくなる。
だから、モルを質量で割るのが望ましい。そういう訳で、質量モル濃度が望ましい。