俗っぽい話が続きますが、これが有機化学の特徴なんですが・・・。
親しみが湧いて良いのではないでしょうか?
さて、高級脂肪酸(ここではCが12〜18)のNa塩、K塩が「セッケン」です。
セッケンは弱塩基正(弱酸と強塩基の塩だもん)です。構造を略さずに描いてみますと、
という長い構造をしています。塩ですから、K+は通常電離しています。
で、よく見てください。長い構造の大部分は、アルキル基です。アルキル基は水に溶けません。(油に溶けます)このような性質を「疎水性」と言います。
でも、末端のカルボキシル塩COO-の部分は、電荷を持っていますから、水に良く溶けます。こういう性質を「親水性」と言います。
つまり、高級脂肪酸の塩は、細長い構造をしていて、その大部分が疎水性部分で、一方の端に、親水性の末端が付いている構造をしています。
この構造を、略号で、
と書きます。
波線の部分が疎水性のアルキル基、はしっこの丸は親水性のCOO-を表しています。
分子内の一部が水に溶け、一部は溶けない?
じゃあ、この分子を水に溶かしてかき混ぜたらどうなるのでしょう?
実際にやってみると、右の図に描きますように、多くの分子が球状に集合する事が分かっています。
なぜか?
疎水性部分(アルキル基部分)は、早い話が油です。
油は水に溶けませんが、油同志は溶けます。
ですから、分子内部の疎水性部分は、水を避けようとします。さらに分子同志は互いの疎水部分を溶かし合おうとします。だって、油は油に溶けようとしますから。
結果として、右の様な構造になるんですね。
さらにこうなりますと、分子表面を電荷を持ったCOO-が覆う事になります。すると、分子の集合した全体、つまりコロイドとして電荷を持っている事になります。ですからコロイドとして水に溶けられる事になりますね。
このようなセッケン分子の球(コロイド)を「セッケンミセル」と言います。
こいつはコロイドの一種ですが、デンプンやタンパク質のコロイドを「分子コロイド」と言いますが、セッケン分子はそれに対して「会合コロイド」と言います。
ここまでOK?
で、セッケン分子が「セッケンミセル」として存在する事が、セッケンが洗浄能力を持つ理由になります。
どういう事でしょうか?
次のページで説明しましょう。
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