小ネタエッセイ@インド人ネタその1

*「インド人」とは「インド系マレーシア人」のことを指します。



うちのとなりに、インド人夫婦が住んでいる。たいそう羽振りがよく、わたしが知っている限り、2人の メイドと、インド人のドライバーを雇っている。
で、そのドライバーなのであるが、彼の仕事の大部分は、待つことである。だんなさんや奥さんがどこかに 出かけるときが、彼の出番なのであるが、一日のそんなに長い時間、運転するわけではない。 彼は、「2人が出かけたいときに、いつでも行けるように、待機している」という時間がほとんどなのだ。
で、どこで待機しているかというと、隣の家の前に座っていればいいのだが、隣の家は、門の前にかなり たくさんの植物が植えてあったり、植木鉢がおいてあったりで、彼の座る場所はほとんどない。 いきおい、こちら側にずれてきて、ほとんど「うちの前」と言える場所に置いてある椅子に座っている。
そうすると、わたしが前庭に出るとき、よく顔をあわせることになる。会えば、「Good morning.」 とか、お互いにあいさつをする。この前なんか、「オハヨーゴザイマス」と言われた。なんで知ってる、わたしが 日本人だってこと。

ところで、うちの門は自動ではないので、ダンナがクラクションをならしたのを合図に、わたしが門を開けに出る。 ダンナが車をうちの敷地内に入れるのを門のかたわらで待って、その後門を閉める。

その夜も同じように門を開けた。ダンナが車を入れるのを待っている間、ボーっととなりのうちのほうを 見ていた。暗いから何も見えなかったし、別に目の焦点も合わせず、ボーっと見ていただけだった。
が、その時、暗闇が、
ゆらっ
と動いた。えっ、と思ってよく見ると、そこにはインド人ドライバーが座っていて、わたしに気付き、 会釈したのだった。
見えないよ、闇夜のインド人。

2003年9月


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