小ネタエッセイCマレーシアンアイドル


アメリカでは「アメリカンアイドル」、イギリスでは「ポップアイドル」など、タレントサーチの番組 (つまり「スター誕生」ですね)が 流行っていて、実際何人ものスターが生まれている。
実は、マレーシアにも「Akademi Fantasia」という 番組があって、ファイナルが行われた2003年8月頃、マレーシア中が熱狂した。といっても、 在馬邦人でも、あまり知ってた人はいないんじゃないかな。なぜなら、マレー語でやってた番組だからだ。 わたしもマレー語がわからないから、真剣には見てないけど、ダンナが見ていたので、横で見ていた。

これは、アストロ(マレーシアの衛星放送)が主催するタレントサーチリアリティーショウ の番組であった。 参加者がひとつの家に住み、毎週課題曲(マレー語の曲)を与えられて、 ボーカルやダンスのレッスンを受ける。その間、彼らは一切外の世界とは連絡がとれないようになっていた。 新聞やテレビもなかったそうだ。彼らの生活は毎日14時間、15の隠しカメラにより撮影され、 平日は彼らの毎日の生活の様子を見せる30分の番組がある。そして毎週土曜日には、スタジオで、 歌とダンスを披露する。それを見た視聴者が SMSで票を送り、毎週一人が脱落する。という番組。 アストロの「Ria」というチャンネルでやっていた。
優勝したのは、Vinceというチャイニーズとイギリス人のハーフの男の子だった。彼はあまりマレー語が得意 じゃないけど、がんばってしゃべっていた。マレー人じゃなきゃいけないことはないけど、マレーシアン アイドルたるもの、マレー語ぐらいしゃべれなきゃあかん、ということだろう。

実は、このショウは、結構いろいろ言われていた。リアリティーショウはマレーシアの番組では、かなり 珍しいことだったのだろう(はじめてかも)。ちょっとネット検索していたら、「あれは、Rawすぎる。 すしみたいに」という 意見があり、笑ってしまった。(Rawとは「生」ってことなので、まあ、「生々しい」ということでしょう。) でも、大体の意見は、「バカにする前に、一度見てみるといい。彼らは、本当に才能がある」というもの だった。・・・・・。えっと、実際見た人には分かると思うんだけど、あ、あれでうまい?とわたしは思う。 めちゃくちゃへたくそではないけど・・・。
わたしはマレー音楽は全く聞かないけれど、マレーシアに住んでいれば、偶然耳にすることはある。 例えばラジオで、テレビで、タクシーに乗ったらラジオがかかっていたりとか。すると、60%以上の確率で、 「うへぇ〜〜、へた〜〜」と思うのだ。半分以上の確率である。日本でも、ここまで確率は高くないと思う。 なんだか叫んでるような独特の歌い方をする人が多いのですよ。聞いてると、「ひぇ〜〜」と思っちゃう ような。そういうのを常に聴いてる人なら、彼らは「才能がある」と思うかも・・・?とちょっといじわるな ことを考えちゃったりして。

なんでマレーシア人って歌が下手なんだろう(ごめんなさい)、とずっと思ってたんだけど、ある日ダンナに 聞いて納得した。それは、わたしたちが学校の音楽の授業のことを話していたときだ。
わたし「でさ〜〜、この曲のとき木琴弾いたんだよ。」
ダンナ「木琴?そんなもの学校にあるの?」
よく聞くと、学校の音楽の授業では、「なんだか適当に歌ってただけだった」という。まあ楽器を教えない なら、歌を極めればいいと思うけど、「先生も、歌をよりいいものにしようという感じではなかった。 全然真剣に教えてくれない」 という。ついでにいうと、体育の授業なんて、
「先生はボールをくれて、適当にスポーツしてろというだけだった」らしい。 まあ、彼は公立の学校だったので、私立ではもっといいかもしれないし、公立でも他の学校ではまた違う かもしれないけど。でも、民族的に同じインドネシア人はすっごく歌がうまい人が多いのに、こんなに違うって ことは、教育の差だ・・・と思えてならないのですよ。

話がそれたけど、結局、その「Akademi Fantasia」に参加した12人全員が、今アストロと契約しており、 タレントとして活動しているらしい。このショウは大成功をおさめたので、第二弾をやることが決定したそう です。時は、今年のハリラヤ後(2003年のハリラヤは11月25、26日の予定)。一体マレーシア人が 何にそんなに熱狂してるのか知りたい人はぜひ見てみましょう。

あっそうそう、このショウに関するエピソードで、とてもマレーシアらしいと思ったことがあった。 一人脱落者が出るたびに、その人のファンだったひとたちは涙を流し、抱き合ってなぐさめあったりしていた。 それを見たおかたい人たちが、
「ムスリムが、人前でそんなことをするなんて、破廉恥な」
と言ってたこと。 まあ、みんな、それほど感情移入してしまっていたのだろう、ということかな。

2003年10月



これが優勝者ヴィンスくんのデビューCDのポスター。直筆サイン入り。 この前見たら、タワーレコードのマレー音楽チャートでは1位でした。マレー人の女の子に大人気です。
May 6, 2004追加


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