キキモカきりんはテキーラがのめない

@Beautiful 犬を見ているといやされる、と人は言う。
わたしもそうだ。
でも、どうしてなんだろう?と考えてみると、答えは簡単、
ものすごく心地よさそうだから
である。陽だまりの中でマットの上に転がり、体をこすりつけたり、
わたしのひざの上で伸びをしたり、
無心でおいかけっこをしたり。
犬は、自分の「欲求」や「快楽」にものすごく素直で、忠実である。
犬は自分の欲求を満たし、
「あーおいしかった」「あー楽しかった」といった感じで、
いつも気持ちよさそうにしている。
犬は自分がどんなかっこうをしているか、よく分かっていない。
そんなことはどうでもいい、ただ楽しければ、気持ちよければ、それで幸せ。
要は、犬は、いつもとてもリラックスしている。
だから、一緒にいると、こっちまでリラックスしてしまうのだ。

人間だっておんなじだ。
どんなに太っていても、やせていても、ボロボロの服を着ていても、
自分で、自分自身のことを快適に思っている人は、
とてもリラックスしていて、話していると、こちらもリラックスできる。
英語で、"comfortable in one's skin"というような言い方がある。
自分が、自分の皮膚の中にすっぽり収まって、楽に呼吸ができる、そんなイメージ。

ラジオから流れてくる、Christina Aguileraの、"Beautiful"。
最初に聞いたときは、誰の何ていう歌かわからないのに、泣きそうになった。
自分という鎧の中で、息苦しくなっているわたしたちへの応援歌のように聞こえた。
−−−誰が何と言ったって、あなたは美しいのよ。
彼女のパワフルなボーカルが響く。
−−−毎日はすばらしくて
    そして突然息が苦しくなる
    ときどき
    痛みに不安になる
    自分がとてもはずかして
わたしがこの歌に惹かれたのは、ただわたしの美しさを肯定的に歌っているからではなくて、
こういう苦しさの中から、希望を見出しているからだ、と思う。
英語では、"She knows what she wants."「彼女は、自分が欲しいものを分かっている」−−−これは、ほめ 言葉だ。
Christina Aguileraは、まさに自分が求めているものを分かっていて、
そのことについて人が何と言おうと、気にしない強い人に見える。
テレビで、"I'm comfortable in my own skin."と言い切っていた彼女。
自分がどう見えるか、人にどう見られているか、
それは時には、女の子にとって、生きるか死ぬかの問題になってしまうくらい、 深刻だ。
決して、「大事なのは中身だよ」なんて言葉で片付けらないくらい、
大きくなりすぎて、自分を押しつぶしそうになることがあるのだ。
でも、自分が本当に欲しい物が何かわかっていて、
それに素直であろうとすれば、
誰が何をいったって、気にすることはない。
自分を理解しようとして、今の自分が欲しいものは何か、
でも決して得られないものは何か、じゃあそれとどうつきあっていくか、
自分の手で解決していくのだ。
そうすれば、ひだまりで伸びをする犬みたいに、
今の自分の皮膚にすっぽりくるまって、心地よく息ができるようになる。きっと。

2003年
「キキモカきりんはテキーラがのめない」トップに戻る
Next
 
Hosted by www.Geocities.ws

1