先程のページで述べましたように、エネルギーを考えると、反応の起きる向きが分かるだけではなく、結果としてどの位の熱が生じるかだって分かるのでした。
[2H2とO2の持つエネルギー] = [2H2Oの持つエネルギー] + 484kJ
中学理科なら、「どっち向きに反応する」かが分かれば十分でしたが、科学としては、「どの程度どうなるか」すなわち「量」「数字」が大事になる場合が多いのです。
先程の図
から、反応が起きるのは分かりますが、その結果どの位の熱が出るのかを知りたい事が多いのです。
そこで、数学を応用する方法が考えられました。
実験によって、1 mol のメタンが燃焼すると、 890 kJ が生じる事が分かっているので、エネルギー変化は 890kJ な訳です。
[CH4と2O2持つエネルギー]=[CO2と2H2Oの持つエネルギー]+890kJ
ですね。それを、
と書く事にします。
注意して下さい!これは化学反応式とは意味が違うんです。
まず、見た目の違いですが、矢印「」ではなく、イコール「=」の記号を使う事。
でも、違いはそんな形式的な物ではありません。
「CH4」は、「メタン分子」という実体を持った物ではないのです!
ここでいう「CH4」は、「メタン分子が持っているエネルギー」を表しているのです。
つまりこの「方程式」は、「右辺と左辺のエネルギーが等しい」という意味を表している「方程式」なのです。化学反応式の様に「反応前」と「反応後」という時間的な変化を表してはいないのです。
このタイプの方程式を「熱化学方程式」と言います。