さて、先程から水素の燃焼の話をしています。
水素が酸素と化合して水になるのは、水のエネルギーの方が低いから可能なのでした。
それは川の水が高いところから低いところへ流れるのと同じだと書きました。
あれ?でもおかしくありませんか?
本当にそうなら、水素と酸素を混ぜてやれば、反応が起きて、水になるはずではありませんか?
でも実際には、マッチの火や放電によって、火を付けてやる必要があります。つまり、何らかの手を加える必要があります。
なぜでしょう? なぜ混ぜただけでは反応が起きないのでしょう?
それは、この反応をもう少し詳しく考える必要があります。
水素が燃えて水になるという事は、原子の結合の仕方が変わる訳ですね。
左の絵を見てください。
結合の仕方が変わると言う事は、元々の結合は一旦切れなくてはなりませんね。
けれど、最初のページで書きました様に、水素同志の結合が切れるという事は、エネルギーが高くなる訳です。(不安定になる訳です)
つまり反応全体としては、エネルギーの低い、より安定した状態に進むのですが、途中で一端「かえって不安定な状態」を通る必要があるんです。
ですから、「山を越えるエネルギー」は、外から加えてやる必要があります。
だから、単に「水素と酸素を混ぜた」だけでは反応が起きないんですね。
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