エタノールもジメチルエーテルも分子式はどちらも、C2H6O ですが、性質はかなり違います。
ですから、有機化学を考える上で、分子式は適当ではありません。
じゃあ、いちいち構造式を書くのかと言えば、それは不便ですね。
また、エタノールの分子式は C2H6O ですし、プロパノールは C3H8O で、違います。が性質は似ているんですね。(水酸基がついてるから) つまり、CとHで出来ている部分は、いちいち書かなくても、分子の性質を考える上ではあまり関係ありません。
そこで、分子の性質に関わる部分だけきちんと構造を書き、関係無い部分は省略して書く書き方を示性式(しせいしき)と言います。
また同時に、官能基自身も、全構造を描かなくても、「水酸基だ」とか「カルボキシル基だ」とかが分かれば、(構造は分かりきっているから)細かく書く必要はありませんね。そこで表のように略して書きます。
例えばエタノールでしたら、いちいち構造を書かなくても、CH3−CH2−OHと書けば、十分意味が分かりますね。(この場合は、C2H5−OH でも良いです)
こうすれば、ジメチルエーテルはCH3−O−CH3と書け、エタノールとの違いがはっきり分かるし、構造式ほど書くのに手間は掛からないですね。
参考のために、上に出てきた構造式を、示性式で書いてみましょう。
(書き方は一通りではないので、他の書き方でも良いです)
メタン:CH4
エタン:CH3−CH3
エタノール:CH3−CH2−OH
メチルエーテル:CH3−O−CH3
プロパノール:CH3−CH2−CH2−OH
メチルエチルエーテル:CH3−CH2−O−CH3
アセトアルデヒド:CH3−CHO
プロピルアルデヒド:CH3−CH2−CHO
ここからは、特に必要がある場合を除いて、示性式で説明しますね。
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