付加重合による高分子


ここまで説明しました高分子は、にしても、アミノ酸にしても、ナイロンにしても、分子が結合する原理は、共通して「脱水」を利用していました。ですから、結合前と結合後では、結合後の方が、(取れた水分子の質量だけ)軽くなりました。このような結合の方法を「縮(合)重合」と言いました。

しかし、脱水を伴わなくても、高分子を作る方法があります。

それが主に二重結合を利用する、「付加重合」です。

これは、二重結合のπ結合が不安定でる事を利用した、重合反応です。

例えば、エチレンで説明してみましょう。

CH2=CH2  ・CH2−CH2・ 

まず、二重結合の二本目の結合であるπ結合は、比較的切れ易いので、何らかの理由で切れた状態を考えて下さい。

そうしますと、炭素原子はそれぞれ一個ずつの不対電子を持つ事になりますね。この状態を「ラジカル状態」と言います。ラジカル状態は、不対電子がありますから、非常に不安定な状態です。

ですからラジカル状態にある分子は、何とかしてラジカル状態を解消しようとします。そこで、近くを通りかかった分子を捕まえて、むりやり結合を起こします。

・CH2−CH2 + CH2=CH2  ・CH2−CH2CH2−CH2

そうしますと、くっつかれた方のエチレンも、不対電子が発生してしまいますね。ですから、この状態もラジカル状態になります。

そこで、さらに通りかかった分子と結合する事になります。

 ・CH2−CH2CH2−CH2 +  CH2=CH2

 ・CH2−CH2CH2−CH2CH2−CH2

これは連鎖反応になり、大きな分子を作る事が出来ます。

この反応では、縮重合と違い、水分子に限らず、分子の質量は減りませんね?

このような重合反応を「付加重合」と言います。

こうしてエチレンが付加重合してできた高分子を「ポリエチレン」と言います。

付加重合は、二重結合があればいいのですから、別にエチレンでなくても良い訳です。そこで、同じ原理で作られる高分子に以下の様なものがあります。


ポリエチレン

エチレンを付加重合して作る高分子。

具体的には、薄い透明のビニール袋、ポリ袋などが、ポリエチレンである。

ポリプロピレン

プロピレンを付加重合して作る高分子。

具体的には、お弁当箱やフィルム等がある。

ポリ塩化ビニル

塩化ビニルを付加重合して作る高分子。

耐水性、耐薬品性等に優れているので、ゴムホース等に使われている。

ポリ酢酸ビニル

酢酸ビニルを付加重合して作る高分子。

具体的には、チューインガムのベースや接着剤等に使われている。



他に、ビニロンも同じ原理ですが、ちょっと複雑な問題がありますので、別に説明します。次へ


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