例えば塩化水素の実験室的製法に用いられる反応で、気体の揮発性を利用するもの。
塩化水素は揮発性で、硫酸は不揮発性である事に注目して下さい。
この反応は本来平衡反応です。
左辺の硫酸は強酸ですので、水中ではほとんど電離して、H+とSO42-の形で存在します。NaClの方も塩ですから、やはり水中では電離した形Na+とCl-の形で存在します。
ということは、偶発的にH+とCl-が水中で衝突し、一時的にHClが生じる事もあるはずです。(当然H+とSO42-が衝突して、H2SO4が生じもしますよ)
もちろんHClだって強酸ですから、すぐ電離してH+とCl-に分かれます。しかしHClはH2SO4と違って、揮発性ですから、生じたHClの一部は電離するより先に、気体になって水から空気中に出て行くはずです。
一方で硫酸の方は不揮発性ですから、外に出て行きません。
そうすると平衡の右辺で生じるHClは、常に減少しますね。ここでルシャトリエを考えますと、全体として右に進みますね?
これが「揮発性酸追い出し型」の反応です。