実際にPHを求めよう(その5)

ではさらに応用です。 今回は非常に薄い酸の濃度を求めてみましょう。

最初の例と同じですが、塩酸のPHを求めます。HClの濃度を 1.0・10-8 mol/l とします。PHはいくらでしょうか?

PH = -log[H+]

今 [H+] = 1.0・10-8 ですから、PH=8 でしょうか? でも、それおかしいですよ。薄いとはいっても仮にも塩酸。酸性には違いないはずですが、PH8では(7を越えているので)塩基性という事になってしまいます。

実は、[H+] = 1.0・10-8 というのが間違いです。

水素イオン H+ の供給源が塩酸だけではないところがポイントです。

水のイオン積を思い出してください。水分子は自然に電離している分があります。中性ならば、[H+]=10-7のはずですから、塩酸から[H+] = 1.0・10-8よりも多いですね。つまりこれを無視していたからおかしいのです。

要するに、

[H+] = [H+]塩酸出身 + [H+]水分子出身

塩酸が電離してできたH+と、水分子が電離してできたH+を考える必要があるのです。

では、どうすれば [H+]水分子出身 が求まるのでしょうか?ここで多少のテクニックを使います。

2++OH-

この式を考えたら、

[H+]水分子出身 = [OH-]水分子出身

が成り立ちますね。

で、今[H+]水分子出身を知りたいので、文字Xと置きましょう。

つまり、

X = [H+]水分子出身 = [OH-]水分子出身

ですね。

今ここではOH-は水分子出身以外ありませんから、

[H+] = [H+]塩酸出身 + [H+]水分子出身 = 10-8 + X

[OH-] = [OH-]水分子出身 = X

が成り立ちます。

で、水のイオン積を考えて下さい。

[H+]・[OH-]=10-14

ここに代入しますと、

(10-8 + X)・( X ) = 10-14

これを展開しますと、

2 + 10-8X - 10-14 = 0

と、二次方程式が出ますね。

これを解いて下さい。

X = 9.50・10-8

ですから、

[H+] = [H+]塩酸出身 + [H+]水分子出身 = 10-8 + 9.50・10-8 = 10.5・10-8 = 1.05・10-7

ですね。

だから

PH = -log(1.05・10-7)

= 6.97

ね、ちゃんと7より小さいから、酸性になっていますね。


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