Cu:銅

アンモニア再溶解元素

アンモニア再溶解元素だが、両性元素ではない。

イオン化傾向が水素より小さいので、塩酸などの酸とは酸塩基反応しないのが特徴。

ただし硫酸には反応するが、これは酸塩基反応ではなく、酸化還元反応である事に注意!

硫酸との反応:2H2SO4+CuCuSO4+SO2+2H2

イオン化傾向の小ささを利用して、電池の陽極として利用される。

錯イオンの配位数4の正方形型。


写真左はCuCl2、写真右はCu(NO3)2

微水の検出反応

CuSO4 + 4H2O → [Cu(H2O)4]SO4


銅は我々にとって古来身近な金属であるが、やはり大変身近な金属として親しまれてきた金、銀と同じく1B族(新しい周期表では11族)の元素に分類されている。銅は、塩酸や希硫酸には溶けないが、希硝酸、濃硝酸や熱濃硫酸には溶ける。銅を空気中で加熱すると、黒色物質となる。この黒色物質は希硫酸に溶ける。この水溶液から結晶を析出させた後、得られた結晶を約250℃に加熱すると、白色粉末が得られる。銅(||)イオンを含む水溶液に、少量のアンモニア水を加えると、青白色沈殿を生じるが、さらにアンモニア水を加えると、沈殿は溶解する。また銅(||)イオンを含む水溶液に硫化水素を加えると黒色沈殿を生じる。

[慶應96医]

  1. 銅は、塩酸や希硫酸には溶けないが、

    これは、銅のイオン化傾向が、水素よりも小さいからですね。

  2. 希硝酸、濃硝酸や熱濃硫酸には溶ける

    希硝酸、濃硝酸熱濃硫酸(加熱した濃硫酸の事)は酸化剤ですね。銅はイオン化傾向の都合で、酸塩基反応はしませんが、酸化還元反応はしますから、これらはその酸化還元反応の事ですね。

    銅の反応の方を書いておきましょう。

    2H2SO4+CuCuSO4+SO2+2H2

  3. 銅を空気中で加熱すると、黒色物質となる

    これは単なる銅の酸化ですね。

    2Cu + O2 → 2CuO

    古い十円玉の表面が、この酸化銅です。黒色ですね。

  4. この黒色物質は希硫酸に溶ける

    銅は希硫酸と反応しませんが、酸化銅はOKです。酸化銅は金属の酸化物ですから、塩基性酸化物です。だから単なる中和反応です。

    CuO + H2SO4 → CuSO4 + H2

    銅はCu2+のままですから、酸化還元反応じゃないですよ。

  5. この水溶液から結晶を析出させた後、得られた結晶を約250℃に加熱すると、白色粉末が得られる

    硫酸銅の結晶と言えば、5つの水和水を伴った、CuSO4・5H2Oでしょう。

    この5H4Oってのは、4つが配位水、1つが結晶水ですから、正確には、[Cu(H2O)4]SO4・H2Oです。

    で、硫酸銅の青色は、この配位水の存在のためです。

    ここでは250℃で加熱してしまっているので、これらは取れてしまうはずです。

    CuSO4・5H2O → CuSO4 + 5H2

    だから白色になるんですね。

  6. 銅(||)イオンを含む水溶液に、少量のアンモニア水を加えると、青白色沈殿を生じるが

    Cu2+ + 2H2O + 2NH3 → CuOH2 + 2NH4+

    アンモニア水は少量ですから、アンモニア分子の影響よりも、塩基としての反応になります。このCuOH2が青白色沈殿なんですね。

    ただ正確に書きますと、Cu2+は水中ではCu2+として存在している訳ではなく、配位子として水を持っている状態なので、[Cu(H2O)4]2+として存在しています。が、配位水は省略して書かない習慣があるので、普段はCu2+と書いている訳です。

    で、アンモニア水の中に含まれるOH-と、配位水二個が中和反応します。

    [Cu(H2O)4]2+ + 2OH- → [Cu(OH)2(H2O)2] + H2

    えとね、配位水とOH-が入れ替わったんじゃないよ。OH-が配位水H2OからH+を奪ったんです。

    生じた[Cu(OH)2(H2O)2]から水を略して書くと、Cu(OH)2ですね。

    なぜ沈殿するのかといえば、[Cu(OH)2(H2O)2]では、Cuの2+とOHの計2−が打ち消し合って、電荷が無くなるじゃないですか。基本的に電荷がない物は溶けない(ここ参照)からですよ。

  7. さらにアンモニア水を加えると、沈殿は溶解する

    銅はアンモニア再溶解元素ですから、十分な濃さのアンモニア分子が溶けていれば、水和水を追い出して、アンモニア分子が割り込みます。

    [Cu(OH)2(H2O)2] + 4NH3 → [Cu(NH3)4]2+ + 2H2O + 2OH-

    こうなれば、[Cu(NH3)4]2+は電荷がありますから、再溶解する訳です。

  8. 銅(||)イオンを含む水溶液に硫化水素を加えると黒色沈殿を生じる

    PHとS沈殿の関係で書きましたが、Cuは液性に依らず、硫化物を沈殿しますので、

    Cu2+ + H2S → CuS + 2H+

    で良いでしょう。

    硫化銅は黒色です。


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